2022年にテキスト生成AIであるChatGPTがOpen AI 社によって公開されたことに端を発し、毎日のように「生成AI」をはじめとするAIに関する話題が日々のニュース欄を賑わしており、皆様の目に入らない日はないといっても過言ではないように思います(個人的には次のiOS18にどういったAI技術が導入されるのか関心あります)。とりわけ、無から有を生み出す生成AIについては、趣味で利用されている方や、日々の業務の効率化、創作活動に利活用されておられる方も多いのではないでしょうか。
そのAIですが、様々な利点が得られる反面、そのリスクは多様化・増大化しているとされ、未解決な課題も多いものです(とりわけ生成AIについては、個人情報保護法や著作権法との関係が多く議論されております)。そのため、複数の省庁において、有識者を交えて適切な利活用に向けた検討を繰り返しており、今年に入っただけでも、以下のとおり、いくつかの成果物が公表されておりますので、つれづれなるままにご参照いただけますと幸いです。
2024年3月
✓ 文化庁「AIと著作権に関する考え方について」
2024年4月
✓ 経産省・総務省「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」
✓ 内閣府 AI時代の知的財産権検討委員会「中間とりまとめ案)」
2024年5月
✓ デジタル庁「行政における生成AIの適切な利活用に向けた技術検証」
✓ デジタル庁「テキスト生成 AI 利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)」
✓ 内閣府 AI戦略会議「AIに関する暫定的な論点整理」
✓ 消費者庁「AI利活用ハンドブック~生成AI編~」
なお、これらのうち「テキスト生成 AI 利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)」は行政向けのものであり、「AI利活用ハンドブック~生成AI編~」は消費者向けでありますが、参考になるところも多いのではないかと思料します。また、「AIと著作権に関する考え方」と「中間とりまとめ(案)」については、当事務所の知的財産法チームにおいて6月6日16:00 より、これらをテーマとしたオンラインセミナーを開催いたしますので、ご関心ある方はご参加いただけますと幸いです。
サイバー攻撃による被害は後を絶たず、国立研究開発法人情報通信研究機構によるNICTER観測レポート(2023年版)によると、サイバー攻撃関連の通信数は、2014年以降の10年間で約25倍に、2018年以降の5年間でも約3倍に増大しており、その増加傾向は顕著となっております。
サイバー攻撃を受け不正アクセスを許してしまった場合の損失は、原因究明や被害範囲調査など対応費用をはじめとして多岐に亘り、その規模としても、トレンドマイクロ社が実施した調査によれば、2021年度の年間平均被害額は3億2850万円になるそうです。
サイバーセキュリティ対策に関する要求水準は年々高まっており、重要な経営課題といえるでしょう。
なお、この点に関して、IT法チームにて、「金融分野におけるサイバーセキュリティ体制の構築義務」と題した論説を金融法務事情2024年4月10日号に寄稿しておりますので、ご関心ある皆様は当方にご連絡いただけますと幸いです。
今年の3月、個人情報保護委員会より、「クラウドサービス提供事業者が個人情報保護法上の個人情報取扱事業者に該当する場合の留意点について(注意喚起)」が公表されております。
これは、社会保険労務士向けのクラウドサービス「社労夢」がサイバー攻撃を受けたことで、同サービスを利用していた社労士のみならず、同サービスを利用する社労士に業務委託していた企業においても大混乱となったことを受けてのものとなります。
ほとんどの企業の皆様は個人情報が関係してくるクラウドサービスをご利用されていると思いますので、是非、一度、ご覧いただくとよろしいかと思います。
(文責:鷲野泰宏)