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中野 明安

今年もゲリラ豪雨災害の気配がありありです。水害により保管物を毀損した場合の責任は(再掲)?

2022/07/29

今年もゲリラ豪雨災害の気配がありありです。水害により保管物を毀損した場合の責任は(再掲)?

 ウェザーニューズは2022年7月5日、「ゲリラ豪雨傾向2022」を発表しました。7~9月のゲリラ豪雨は、全国でおよそ9万回発生(前年比1.4倍)するとのことで、過去5年平均比でも1.9倍と発生回数が増える予想とのこと。数字の大きさにビックリです。ウェザーニューズでは、「ゲリラ豪雨」による突然の激しい雨や落雷による被害が全国各地で発生していることから、少しでも被害を減らすべく、「ゲリラ豪雨」の予想発生回数を47都道府県別にも公開しています。例えば、佐賀県(2,000回)や大分県(2,300回)等、前年比で3倍!近くとなる(西日本を中心に前年よりも発生回数が増えるとのこと)ところもあるようです。その他、人口が多いところでは、東京で800回、愛知で1,000回、大阪で400回となる見込みです。本当に注意が必要です。

 さて、昨年にもご紹介しましたが、神戸の裁判所で、修理のために預かっていた自動車を豪雨災害に見舞われ水没させてしまったガソリンスタンドの責任が認められたという報道がありました。大事なことと思いますので、再掲します。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202106/0014444020.shtml
 2018年9月の台風21号による高潮により、ガソリンスタンドで預かっていた自動車が水没してしまい、自動車が走行不能の状態になってしまったという事案です。自動車の所有者は、保管していたガソリンスタンドに過失があるとして、損害賠償を求めて提訴。神戸地裁はガソリンスタンドを経営する会社に「高潮を含め、甚大な被害をもたらす可能性が高いと繰り返し報道され、被害に遭う可能性は予見できた」(A)とし、保管に関する注意義務違反を認定し、男性が求めた全額の賠償を命じたようです(請求認容額150万円)。

 このガソリンスタンドは神戸市の人工島にあり、海から約100メートルに位置していて、原告は9月1日に外国車の板金修理を依頼し、保管も委ねました。台風21号は同月4日午後2時ごろ、神戸市付近に再上陸し、ガソリンスタンドの従業員らは同日午後1時半ごろ、店を閉めて退社したが、通常の営業終了時と同様に車の保管庫のシャッターを閉じただけで、保管庫のシャッター前に土のうを積んだり、車のマフラーに浸水カバーを取り付けたりはしなかった、ということです。その結果、保管庫は高潮で約70cm浸水し、車は走行不能になったということです。判決では、「被害を想定し、対応する時間的猶予もあった」(B)と指摘して上記のような判断となったものです。

 気象災害に関する被害の予見可能性については天気予報の精度が高まることに予見可能性を認める方向に働くものとなります。本年も残念ながら気象災害は起こってしまうと思います。安全配慮のため、そして、事業継続のため、十分な準備と、早めの避難を心がけて頂きたいと思います。

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