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中野 明安

「冬のBCP」を見直す ― 防災士研修の現場と安全配慮義務

2026/01/30

「冬のBCP」を見直す ― 防災士研修の現場と安全配慮義務

 本年から、弁護士業務の傍ら、防災士研修センターにおいて、防災士研修や関連業務のお手伝いも少しづつですが、させていただいております。弁護士の危機管理の知見を少しでも活用できればと思っております。何卒よろしくお願い申し上げます。研修の現場では、地域防災や個人の備えにとどまらず、企業活動に直結する実践的なBCPの課題が数多く共有されています。本稿では、そうした現場の問題意識を踏まえ、企業実務者にとって関心の高い「冬のBCP」に焦点を当ててお伝えします。

 冬季のBCPというと豪雪や寒波を想起しがちですが、実務上はそれに限られません。大雪や路面凍結による交通障害、公共交通機関の計画運休、物流の遅延、さらにはインフラ工事の長期化などにより、「災害ではないが業務が止まる」事態が頻発します。計画運休は感染症災害などでも議論がなされたように、特に企業の皆様にとり影響があり、かつ、対応について検討が必要です。これらは突発的というより、ある程度予測可能でありながら、十分な対策が講じられていないケースが少なくありません。

 冬季対応で特に重要なのが、従業員の安全と健康への配慮です。感染症の流行、低温環境下での作業、早朝・深夜の移動による転倒事故などは、労働契約法上の安全配慮義務と密接に関係します。
 「出社してよいのか」「在宅勤務に切り替えるべきか」といった判断を現場任せにすると、結果的に管理職や会社の責任が問われかねません。BCPの中で、出社判断基準、テレワーク切替え条件、管理職の指示権限を明確にしておくことは、人事・労務管理上も極めて重要です。

 BCPは文書として整っていても、実際に使えなければ意味がありません。防災士研修の現場でも、季節特性を踏まえた想定訓練の重要性が強調されています。冬季の気象条件を前提にした机上訓練や簡易シミュレーションを行うことで、「誰が・いつ・何を判断するのか」という実務上の弱点が可視化されます。この冬、自社のBCPを「冬仕様」で点検することが、管理職・人事部にとっての重要なリスク対策となるでしょう。

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