2025年はアメリカではトランプ氏の第46代大統領の就任や、ロサンゼルス郊外の山火事などで、また波乱?の幕開けとなりましたが、日本では某テレビ局の不祥事対応が話題を独占しています。某テレビ局は何をしたのか、そもそも不祥事があったのか、無かったのか。調査をすると言ったことまでもが紛議の元となるのであり、事態は一刻も猶予を許しません。企業の存続の危機=企業リスクは当然ながらこのような不祥事案も契機となります。図表1をご覧頂くまでもなく、皆様もご承知の通り、事業活動には様々な企業リスクが潜在しています。常に潜在する企業リスクが発現した際にどのように対応するべきか、初動からその過程までその対応には迅速性と適格性が求められます。BCPというテーマで、これまで気象災害、自然災害と事業継続を取り上げてきましたが、企業不祥事についても事業継続の問題として取り上げるべき事業継続を脅かす重大なリスクです。企業不祥事についてどのような対応をするのか、どのような初動をするのか、これもBCPとして検討をする必要があると思います。


今回の報道で、話題となっているのが、第三者委員会、特に「日本弁護士連合会のガイドラインに準拠した第三者委員会を設置するか」ということでした。日本弁護士連合会(日弁連)では、次のようにガイドラインについて述べています。
「企業や官公庁、地方自治体、独立行政法人あるいは大学、病院等の法人組織(以下、「企業等」という)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合、最近では、外部者を交えた委員会を設けて調査を依頼するケースが増えています。
日弁連では、そのような委員会のうち、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会(以下、「第三者委員会」という)を対象として、本ガイドラインを策定しました。
これは、第三者委員会が設置される場合、弁護士がその主要なメンバーとなるのが通例であることから、第三者委員会の活動がより一層社会の期待に応え得るものとなるように、当連合会が自主的なガイドラインとして定めたものです。
本ガイドラインは第三者委員会があまねく遵守すべき規範を定めたものではなく、現時点でのベスト・プラクティスを取りまとめたものですが、ここに1つのモデルが示されることで第三者委員会に対する社会の理解が一層深まることを願うものです。
また、今後第三者委員会の実務に携わる弁護士には、各種のステークホルダーの期待に応えつつ、さらなるベスト・プラクティスの構築に尽力されることを期待します。」
つまり、第三者委員会が社会の期待に応え得るものになるためのガイドラインということです。企業リスクへの対応として、企業の存続をかけて第三者委員会を設置すると決議をするのですから、それが社会の期待に応えるものであることは必要なことなのでしょう。
もちろん、第三者委員会でなければならないわけではありません。「自浄作用」がきちんとできるかが問題なので、不祥事が起こった際に「どのように自浄作用を作動させ、社会からの信用を維持するか」を予め検討(=計画)しておいていただくことが、事業継続=BCに必要であると思います。
(これは中野個人の私見であることを表明します。)