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中野 明安

花粉症とBCP

2025/03/31

花粉症とBCP

 花粉症の季節がやってきました。私は、未だ花粉症の大変さを実感していないのですが、それでも、講演中に鼻水がタラーリとたれてきてしまうことが最近複数回あり、ハンカチを持ちながらの講義をしていて、これって花粉症?って思っていたりします。

 日本気象協会では、「2025年 春の花粉飛散予測(第5報)」を出していますね。~ヒノキ花粉が増加中 まもなくピークに 花粉シーズンは折り返し地点~ということだそうです(3月25日発表)。

 パナソニック株式会社が2020年に行った「社会人の花粉症に関する調査」では、花粉症の社会人に、花粉症の症状が自身の仕事のコンディションに影響しているかを聞いたところ、79.0%が「影響がある」と回答していました。また、1日のうち花粉症により仕事のパフォーマンスが低下していると感じる時間は平均で約2.8時間と算出されています。そして、これらの花粉症による労働力低下の平均時間と、最新の民間給与実態統計調査(国税庁)や労働力調査(総務省統計局)を元に「花粉症による労働力低下の経済損失額2024」は、1日あたり「約2340億円」と推計されています。これは馬鹿にできません。事業継続における重大なリスクと言っても過言ではないと思います。

 そこで、会社はどうすべきか。

 アスクルのおしごとお役立ちコラム、では、以下の情報提供をしています。私は企業の安全対策、経営者の善管注意義務とおける重要な取組と思います。


1 従業員の入退出時のルールを設定する
 コラムでは、従業員を花粉症から守るためには、職場全体で花粉症対策に取り組むことが重要としています。「特に花粉症対策として意識すべきは、職場に花粉を持ち込まないこと」だそうです。
そのため具体的な花粉症対策ルール(社内環境改善プログラム)としては以下のようなものが提言されています。

(1)入室前に上着を脱ぐ。
(2)服やカバンに付いた花粉を衣服ブラシや粘着クリーナーで除去する。
(3)外出前に花粉の付着を抑える「花粉ブロックスプレー」を使用する。
(4)これらの社内ルールをポスターにして、入り口や掲示板に貼る。

 私は、この(4)が非常に重要と思います。これがあれば、従業員周知に役立ち、訪問者にも協力してもらいやすくなります。

2 換気のタイミング~従業員の出社前後に換気を行う
 花粉が飛散しやすいのは、お昼前後から夕方ということです。人の出入りが多い職場は花粉だけではなくウイルスも室内に侵入しやすい環境のため、換気をしましょう。そのタイミングは花粉飛散の少ない午前中の早い時間帯、具体的には従業員の出社前後に短時間で行いましょう。まどを全開にせず、空気清浄機なども活用することが良いようです。

3 小まめにエアコンのフィルタを掃除する
 花粉症対策としてエアコン掃除をしよう、ということです。花粉飛散が多い時期にエアコンを稼働させると、室内にたまった花粉が空気と一緒にエアコンのフィルタに吸着されます。そして、この状態のままエアコンを使うと、フィルタに付着した花粉が室内に吹き出されて拡散する、ということです。花粉を拡散させないためにも、月に1回程度はフィルタを掃除しましょうとされています。

4 フロアに加湿器・空気清浄機を設置する
 加湿器と空気清浄機の使用も花粉症対策に有効とされています。加湿器は空気中の水分を増やし、花粉を湿らせて床に落とすことで、花粉が浮遊するのを防ぎますし、空気清浄機はフィルタで花粉をキャッチし、空気をきれいにしてくれます。加湿空気清浄機なら、1台2役でスペースをとらず設置もしやすいですね。


 花粉症による経済損失が1日あたり「約2340億円」の推計値にビックリしましたが、この大きな影響をおよぼしている花粉症への対応は、企業・従業員が事業への影響を理解し、対策にしっかり取り組むことが大切なようです。内部統制システムの「損失危険管理体制の構築」に該当するでしょう。ぜひ、皆様の会社でも対策を実施して、花粉シーズンでも損失を減らし、事業を継続しましょう。

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