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中野 明安

2025年に日本国内で企業の事業継続に深刻な支障を与えた自然災害

2025/12/26

2025年に日本国内で企業の事業継続に深刻な支障を与えた自然災害

1 2025年の特徴 ―「単発の巨大災害」よりも「継続的・複合的災害」
 2025年の日本では、東日本大震災や阪神・淡路大震災のような単一の超巨大災害は発生していません。しかしその一方で、企業の事業継続にとって深刻な問題となったのは、気象災害の多発と、過去の大規模災害からの復旧の長期化が重なった点でした。
 BCPの観点から見ますと、「一度の被災」よりも、「通常業務に戻れない状態が長期化すること」こそが、より大きな経営リスクとなります。2025年は、まさにその特徴が顕在化した年であったと言えます。

2 線状降水帯による豪雨災害と企業活動への影響
 2025年も、日本各地で線状降水帯による集中豪雨が繰り返し発生しました。特に九州地方、中国地方、東海地方などでは、短時間の豪雨により、
・工場・倉庫の浸水
・主要道路・高速道路の通行止め
・鉄道・物流網の停止
・従業員の出社困難や安全確保の問題
といった事象が相次ぎました。
 これらは、被害規模としては局地的であっても、サプライチェーンの寸断や納期遅延を通じて、全国の企業活動に影響を及ぼしました。特に、代替輸送ルートを持たない中小企業や、特定地域に生産拠点を集中させていた企業では、事業中断が現実のものとなりました。

3 猛暑・極端高温による事業継続リスクの顕在化
 2025年も、夏季の記録的な高温や猛暑日が継続し、これが企業活動に新たな形の支障をもたらしました。
・屋外作業・建設業・物流業における作業制限
・熱中症対策義務の強化による稼働率の低下
・電力需給の逼迫による操業調整
・データセンターやIT設備における冷却負荷の増大
 これらは、いわゆる「災害」としては見えにくいものの、事業継続という観点からは明確なリスク要因です。2025年は、BCPにおける「人の安全確保」や「インフラへの依存」といった弱点が、改めて浮き彫りになった年であったと言えます。

4 過去災害の復旧長期化がもたらす2025年特有の問題
 2025年時点においても、2024年に発生した能登半島地震の影響は、完全には解消されていません。インフラの復旧、住宅再建、人材流出などの問題が長期化し、
・現地企業の操業再開の遅れ
・取引先の喪失
・従業員の生活基盤の不安定化
といった形で、2025年の企業活動にも直接的な影響を与えています。
この点は、「災害は発生した年だけの問題ではない」 という事実を、明確に示しています。

5 BCP上の教訓
 2025年の日本における自然災害が、企業に突きつけた教訓は明確です。
・局地的な災害であっても、事業は止まります
・人的制約(出社・健康・安全)が最大のボトルネックになります
・復旧が長期化すること自体が、重大な経営リスクとなります
つまり、2025年は「想定外の大災害」ではなく、「想定していたはずの災害が、想定以上に経営を蝕んだ年」 であったと言えるでしょう。

まとめ
 2025年の日本国内では、単発の巨大自然災害よりも、豪雨、猛暑、そして復旧の長期化といった複合的な自然リスクが、企業の事業継続に深刻な支障を与えました。この現実は、BCPを単なる「書類」としてではなく、「平時から機能する経営ツール」として再構築する必要性を、企業に強く突きつけています。

 今年もお世話になりました。来年は事業継続の営みがさらに進化することを期待しております。

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