かねてからEUでは、AI Actの立法作業が進められてきましたが。去る本年3月13日、AI Actが、EU議会(European Parliament)にて可決され、近日中に効力が発生する見込みとなりました。
1 AI Actの規制内容
AI Actは、AI(Artificial Intelligence)システムの有害な影響に対して、健康、安全、基本的人権、環境保護を保護し、人間中心の信頼できるAIシステムの導入を促進しようとするもので、以下の規制を設けています(Article 1)。
(1) AIシステムのEU内における市場投入や使用に関するルールの制定
(2) 一定のAI利用行為の禁止
(3) ハイリスクAIシステムの必要要件と当該AIシステムの運営者に対する義務
(4) 一定のAIシステムの透明性に関するルール
(5) 生成AIモデルの市場投入に関するルール
(6) 市場のモニタリング、サーベイランス・ガバナンス及びエンフォースメントに関するルール
(7) イノベーションの支援策
このAI Actは、AIシステムやその利用行為の人間に対するリスクの大きさに応じて、①禁止されるもの、②厳しい規制が及ぶもの、③それ以外のものに分け、そのリスクに応じた規制を設けています。
2 AI Actの適用範囲
AI Actの適用範囲は、2条に定められており、EU域内において、市場投入され、又はサービス提供されるものを対象としていますので、AI域内において利用可能なサービスを提供している事業者は対応が必要となります。
3 AI Actの施行時期
このAI Actは、最終の文言確認作業終了後、EU理事会(Council)によって確認され、公布された20日後に効力が発生することになります。その後、効力発生後6ヶ月後に一定のAI利用行為の禁止規制が施行され、効力発生後36ヶ月後まで順次施行されていくことになります。
特に、EU域内を含む地域にAIシステムを用いたWebサービスを提供している事業者は、対応が必要となりますので、留意が必要です。