本年6月7日、スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議は「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024」(以下「アクション・プログラム2024」といいます。)を公表しましたので、その内容について簡単に解説します。
1 スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議
アクション・プログラム2024を策定したのは「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」ですが、そもそもこの会議はどのような会議なのでしょうか。
この会議の始まりは2015年に遡ります。2015年と言えば、安全保障関連法案が成立したり、TPP交渉が大筋で合意したり、ラグビーW杯において日本が南アフリカを34-32で破る歴史的な勝利を挙げた年です。この年の前後には、コーポレート分野でもエポックメイキングなことがありました。2014年にはスチュワードシップ・コードが策定され、2015年にはコーポレートガバナンス・コードの適用が開始されました。
両コードが策定されたものの、形だけではなく実効的にガバナンスを機能させて経済の好循環に繋げることが必要であるとの認識の下、両コードの普及・定着状況をフォローアップするとともに、必要な施策を議論・提言することを目的としてこの会議が2015年に設けられました。会議の事務局は金融庁と東証です。
この会議は年複数回開かれてきましたが、2022年、2023年、2024年は年1回の開催にとどまっています。
2 アクション・プログラム2023の策定
この会議は2023年にもアクション・プログラムを策定しました。同年の会議ではコーポレートガバナンス改革の実質化に向けた現状の課題が以下のように整理されています。

同会議においては、上記の課題に対しての具体的な施策・検討の方向性を示し、それに応じて金融庁及び東証は2023年~2024年にかけて、様々な取組を推進していきました。

3 アクション・プログラム2024の策定
上記のような2023年の取組を受けて、本年の会議においては、アクション・プログラム2024を策定しました。
まず、本年の会議においては、2023年~2024年の取組を評価しつつも、両コードへの取組が形式的なコンプライにとどまっていることや、各企業の取組の質に大きな差があるとの課題意識が示されました。その上で、具体的に、以下の6つの項目について、課題と方向性が示されました。


上記は、あくまで金融庁等が取り組むべき事項を整理したものですが、実際に、金融庁等が取組を行えば、企業実務にも影響を与えます。単に取組や事例を「共有」する(例えば「好事例集」を作る)だけなら良いですが、スチュワードシップ・コードの改正(上記①)、コーポレートガバナンスの状況を示す具体的なリストを作成・公表(上記④)、政策保有株についての開示の拡充(上記⑤)については、新たな企業対応が求められる可能性があります。
アクション・プログラム2024を受けて、本年度にどのような取組が行われるのかを注目してください。