1 CCS事業法の施行により貯留事業の許可制がはじまりました
脱炭素化があらゆる場面で進められている昨今ですが、脱炭素化が難しい分野におけるGXを実現するため、CO2を回収して地下に貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)の導入が進められています。
このようなCCS事業の開始のための事業環境整備を目的として、2024年に二酸化炭素の貯留事業に関する法律(CCS事業法)が成立しており、同法はCCS事業の事業化フロー(探査、試掘、貯留事業)に沿って段階的に施行されてきましたが、その最終段階として、2026年5月22日、事業の許可制などを含む貯留事業・導管輸送事業に関する規制部分が施行されました【1】。
【CCSの流れ】


【CCS事業法の施行状況】

2 貯留事業の許可制度の概要
貯留事業においては、経済産業大臣の許可(4条1項)を受けた事業者は、事前に指定された特定区域(3条1項)において、試掘権・貯留権が得られることになります(25条)。
一方で、当該許可を受けた事業者は、貯留事業を開始する前に、貯留事業実施計画の認可を受けなければならず(38条)、また、事業開始後においては、事業約款の届出制度によって料金等の届出義務が課されるほか、CO2排出者からの貯留依頼を正当な理由なく拒むことや特定の者に対する差別的取扱いが禁止されます(50条、51条)。
そのほか、事業の安全性を担保するため各種の保安規制(66~77条)が課されているほか、試掘・貯蔵のための土地の掘削、坑水の放流又は貯蔵したCO2の漏えいによって第三者に被害を与えたときの事業者の賠償責任は無過失責任とされています(124条)。
(なお、同法における「漏えい」とは、法文内に定義はないものの、「貯留したCO2が貯留区域から漏れ出ること」であり、地中から海洋や大気中へ漏れ出る「漏出」とは異なるとの整理がなされています。)
【「漏えい」と「漏出」の違い(概念図)】

また、貯留事業の許可に際しては、関係都道府県知事との協議や公衆縦覧等のプロセスを要することが定められているほか(6条、7条)、許可基準についても、CO2の安定貯蔵が見込まれることに加え、経理的基盤及び技術的能力を有し、かつ十分な社会的信用を有すること等といった基準に従って評価され、特定区域における貯留事業等を最も適切に行うことができると認められた者に許可をするものとされています(5条)。
3 導管輸送事業規制の概要
CO2の導管輸送事業に関する規制については、貯留事業と異なり届出制とされていますが(78条)、事業約款の届出制度によって料金等の届出義務が課され、CO2排出者からの輸送依頼を正当な理由なく拒むことや特定の者に対する差別的取扱いが禁止されること(82条、83条)、各種保安規制が課されること(85~92条)については、貯留事業と同様の規制となっています。
4 今後について
上記のとおり、CCS事業法の法律及び下位法令の整備が行われましたが、さらに今後は、同法及び下位法令に基づく義務・手続的事項について、事業者が適切に事業を実施できるようにするため、これらの具体的内容を解説し、事業者が実施すべき事項や考えられる事例等を明らかにするガイドラインを作成することについて検討がなされており、準備が進められています。CO2の安定貯蔵の確保方法やモニタリングの具体的な方法、CO2漏出時の影響評価の手法といった実務的な内容にも議論が及んでいることから、ガイドラインがどのような内容となるのか、引き続き注目したいと思います。
(文責:神代)
【1】同施行にあわせて関連する政省令も整備されています。

