Q-4(事業継続のための出勤命令の可否)

Q-4(事業継続のための出勤命令の可否)

今後パンデミックが発生したとしても、重要業務の継続は必要です。使用者は重要業務に従事する労働者に出勤を命じることができるのでしょうか。

A-4

使用者が十分な新型コロナウイルス感染防止策を講じ、感染リスクを排除した労働環境を構築しているのであれば、重要業務に従事する労働者に出勤を命じることができます。

(解説)

一般にどのような職種であっても、まったく危険を伴わない業務というものはないと思われます。したがって、業務上、通常想定される危険があることを理由に就業拒否をすることはできません。しかし、最高裁昭和43年12月24日判決・千代田丸事件は、「業務に伴う通常の危険を越える生命身体に対する危険がある業務命令は、拒否することができる。」ことを前提とした論理を展開しています。したがって、社内において新型コロナウイルスが相当程度蔓延している状況においては、労働者はその労務提供を拒否することが正当化されうると考えられます。

このような事態を回避するために、使用者としては、「業務に伴う通常の危険を超える生命身体に対する危険」をできる限り排除しなければなりません。そのためには、使用者が、十分な新型コロナウイルス感染防止策を実施し、労働者の感染リスクを一定レベルに留めておかなければならず、それが実施されていない場合には、出勤命令自体が否定されうることになります。逆に言えば、使用者が十分な新型コロナウイルス感染防止策を講じ、感染リスクを排除した労働環境を構築しているのであれば、事業者は労働者に業務命令として適法に出社を命じることができます。

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